心理学でわかるパワハラが助長される理由

レスリングやアメフトに体操まで また職場の中でも

パワハラの問題が多く浮上しています

心理学で見ていくと、パワハラはなぜ発生するのでしょう?

潜在意識の中で何が起こっているのかを見ていきます

 

 

パワハラとは、権力や地位、能力をなどの

力関係がある中で

上の立場の者が、下の立場の者に行う

威圧的なハラスメントで

精神的・肉体的・環境的に

苦痛をあたえるものです

 

 

先日、ある男性から

職場でのパワハラの相談を受けました

 

その男性は、上司に呼ばれ

会議室に入ったのですが

 

二人っきりの狭い空間で

性格が気に入らない、あなたを信用していない、と

上司に、10回も20回も

大声で繰り返し怒鳴られ

まっすぐ立っているのも辛くなったそうです

また、ある文章を

一言一句間違いなく繰り返し言う

ということを求められ

何度も何度も繰り返し

唱えたそうです

 

怒鳴られながら

その言葉を10回ほど繰り返したときに

上司がにやりと笑うのを見て

心の底から命の恐怖を感じたそうです

 

 

その後何日も、24時間、寝ても覚めても

怒鳴り声が頭から離れず

毎日夢に見て

とうとうカウンセリングを受けられました

 

 

心理学的にお話しすることは

一つの根本的解決になるのですが

この方の場合

頭から離れず夢にうなされていることから

まずは、物理的にも、逃げる

身を守ることを、お勧めしました

 

 

心理学でパワハラを見ていくと

問題や切り口はいくつもありますが

問題点の一つは

パワハラをしている方も

パワハラを受けている方も

それに気づきにくい、ということです

 

そして、これはパワハラではないか

と指摘されても

まだ軽い方ではないか

大した問題ではないんじゃないか

と、軽視してしまう心理が働く傾向にあります

 

この方の場合も、

上司が人格を否定してもまだ

自分ができてないからじゃないかと

自分を責めていましたが

苦しくなっている自分を見ながら

にやりと笑う上司の顔を見て

死の恐怖を感じて

やっとカウンセリングを受けたのです

 

 

 

カウンセリングでお話して、初めて

上司に、挨拶すら

何か月も無視されていたことも

すでにパワハラだったのかと気づかれていました

 

 

この問題を軽視する心理傾向は

予期しない事態に遭遇した時、

物事を正常の範囲だと

自動的に認識する心のシステムが発動するもので

”正常性バイアス”と言われ

災害対策の場でも取り沙汰されています

 

避難指示や避難勧告に対し

過小評価の方向で自己判断する傾向にあり

避難が遅れたり、準備を怠ったり

災害現場を確認しに行きたい心理が

災害を拡大してしまいます

 

また、パワハラはとくに

自分がガマンすれば、という心理が働くため

精神的に我慢を重ねることで

身体や精神に病気を発症することがあります

 

負担が大きくなって、

病気や自殺など、問題に”名前”がつくまで

対策が取られにくいことも

問題を隠し、また一方で大きくしています

 

心理学的に見てみると

 

自分は正しい、お前が間違っている

と圧力的な言動をとる上司と

 

自分が悪いんじゃないか

と自分を責める傾向にある部下

 

これはドメスティック・バイオレンスや

虐待と同じ心理構造を持っています

 

そして、双方の潜在意識を

もっと深く心理学で紐解いていくと

この双方の根っこにあるものは同じで

共通している意外な

潜在意識の ”記憶” なのです

 

 

加害者にも潜在意識の”記憶”があり

それをもとに、判断し、行動し

言葉を発しています

 

その結果

ハラスメントになっているとすれば

本人が自分で気付くことも

自分で止めることも

本当に難しいでしょう

 

一方、被害者の方も

潜在意識の”記憶”から

怒鳴られるたびに

黙る、固まる、自分を責める、など

同じ反応が出てしまうため

もし気づきがあったとしても

自分の意志で、反論したり

言い返すこともほぼできません

 

 

もっとさらに深い層の

潜在意識とアクセスして

加害者自身が気づきを持ち

潜在意識をクリアリングし

自分を変えること

 

被害者も同じことが

大切ですが

 

まずは、身を守ることが

なにより重要です

 

たとえ心理的には

双方にそれぞれ

加害者・被害者になりやすい要因があるとしても

権威や地位を持つ者に

持たない者は逆らえないのですし

心や身体に大きな傷を負うのは

被害者なのですから

 

 

もしあなたの周囲に

被害に遭っている方がいたら

安全な逃げ場所を作ってあげてください

反論すればいい、とか

態度を変えればいい、とか

と助言したところで

きっとその人はできません

できる人ではないから被害に合うのです

 

安全な場所で

心と身体を回復させることが大切です

 

 

もし、あなたの周囲に

加害者の方がいたら

あなたがやっていることは

ハラスメントで犯罪だ

と言葉で伝えてあげてください

何度でも伝えて、止めてあげてください

最終的には

加害者は(無意識の場合もありますが)

自分のやったことで罪悪感にさいなまれ

自分を許せなくなり

結局苦しむことになるのですから

 

 

 

※心理学で紐解くことは、現状から離れる、逃げることを否定するものではありません

まず身の安全を確保して、落ち着いてからぜひお役立てください

専門の病院などに通院されている方は、ブログ閲覧も含めお医者様にご相談の上、その指示に従ってください

 

(参考資料)
パワハラとは 同じ職場で働く者に対して、(1)職務上の地位や人間関係など職場内の優位性を背景に、(2)業務上の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、または、職場環境を悪化させる行為 (2012年1月、厚生労働省)

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